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技術コラム

カメラ用レンズホルダーの切削加工|車載・監視カメラ向け量産のポイント

カメラ用レンズホルダーとは

カメラ用レンズホルダーとは、カメラモジュール内部でレンズを固定し、レンズとイメージセンサの位置関係を保持するための筒状部品です。鏡筒の一種に分類される部品であり、特に車載カメラや監視カメラに使用される小径・固定式の鏡筒は、実務上「レンズホルダー」と呼ばれることが多くあります。

レンズホルダーの主な用途は以下の通りです。

  • 車載カメラ:センシングカメラ、サラウンドビューカメラ、バックカメラ
  • 監視カメラ:屋内・屋外の防犯カメラ、ネットワークカメラ
  • 産業用カメラ:画像検査装置、位置決め装置、各種光学センサ

レンズホルダーには、レンズを保持する内径や段差、カメラ筐体と嵌合する外径、ねじ部などが設けられています。これらのわずかな寸法のずれが、レンズの光軸やピント精度に影響するため、高い内径精度や同軸度、安定した面粗度が求められます。

カメラ用レンズホルダーに切削加工が求められる理由

レンズ保持部の内径精度

レンズホルダーにおいて、特に重要となるのがレンズ保持部の内径精度です。内径が大きすぎるとレンズの位置にばらつきが生じ、反対に小さすぎると、レンズを組み込めない、あるいは組付け時に過度な負荷がかかる可能性があります。車載カメラ用レンズホルダーでは、外内径公差15μmといった厳しい寸法精度が求められるケースもあります。
ダイカストやプレス、樹脂成形のみでは厳しい内径公差や面粗度を安定して確保することが難しい場合があるため、レンズ保持部や嵌合部には切削加工が採用されます。

内外径の同軸度

レンズホルダーは、外径を基準としてカメラ筐体に組み付け、内径や段差部分でレンズを保持します。そのため、外径とレンズ保持部の中心軸がずれていると、組み込まれたレンズの光軸にもずれが生じ、ピント精度や画像品質に影響する可能性があります。
製品によっては、内外径に対して10μm程度の同軸度が求められるケースもあります。
外径、内径、段差部分を別工程で加工すると、工程間の再チャッキングによって芯ずれが発生しやすくなります。そのため、可能な限りワンチャッキングで加工を行い、各形状の位置関係を維持することが重要です。

面粗度と黒アルマイト処理

アルミ製のレンズホルダーには、カメラ内部における不要な光の反射を抑えるため、黒アルマイト処理が施されることがあります。しかし、切削時に表面のむしれや加工傷が残っていると、アルマイト処理の前処理によって凹凸が強調され、外観不良や反射率のばらつきにつながる可能性があります。また、レンズの嵌合部に粗い加工面が残っていると、レンズの組付け性や保持精度にも影響します。
そのため、アルマイト処理後の仕上がりを考慮し、切削加工の段階で均一な面粗度を確保しておくことが重要です。

車載カメラ用と監視カメラ用で異なる要求

レンズホルダーに求められる基本的な役割は、レンズを正しい位置に保持することです。ただし、使用される環境によって重視される項目が異なります。

車載カメラ用レンズホルダーでは、走行時の振動や衝撃、車内外の温度変化などを受けるため、以下のような項目が重視されます。

  • 振動や衝撃を受けてもレンズ位置を保持できること
  • 温度変化に対する寸法安定性
  • 内径や段差部分の寸法精度
  • 内外径やレンズ保持面の同軸度
  • 長期間の量産における品質の安定性

一方、監視カメラ用レンズホルダーでは、屋内・屋外などの設置環境やレンズ構成、筐体形状によって要求が異なります。レンズ保持部の精度だけでなく、カメラ筐体との嵌合部や、切り欠き、スリットなどの複合形状が必要になる場合があります。
車載カメラ用・監視カメラ用のいずれにおいても、図面上の寸法だけでなく、レンズの組付け方法や使用環境、表面処理後の仕上がりまで考慮して加工方法を検討することが重要です。

レンズホルダー加工のポイント

薄肉形状のチャッキング変形

レンズホルダーは、カメラモジュールの小型化や軽量化を目的として、薄肉形状に設計されることがあります。薄肉部品を強い力でチャッキングすると、加工中にワークが変形します。その状態で内径を加工すると、機械上では寸法公差を満たしていても、チャックを開放した後に内径寸法や真円度が変化する可能性があります。そのため、ワークの肉厚や把持位置に合わせてチャッキング圧を調整し、加工中の変形を抑える必要があります。また、荒加工と仕上げ加工の切り込み量や加工順序を最適化し、ワークに加わる切削負荷を抑えることも重要です。

内外径の同軸度確保

レンズホルダーでは、レンズを保持する内径と、カメラ筐体へ組み付ける外径との同軸度が重要です。内径と外径を別々の機械や工程で加工すると、再チャッキング時の位置ずれによって同軸度が悪化する可能性があります。
当社では、自動盤の主軸と背面主軸を活用し、外径、内径、段差、ねじなどの加工を可能な限り一工程に集約しています。チャッキング回数を減らすことで、内外径やレンズ保持面の位置関係を維持し、量産時における精度のばらつきを抑えます。

切粉による内面傷

レンズホルダーのような小径の筒状部品では、内径加工時に切粉が排出されにくく、ワーク内部に残りやすくなります。特にアルミは、切削時に切粉が長くつながりやすい材質です。切粉が工具やワークに巻き付くと、内面傷や寸法不良、工具破損の原因になります。
当社では、高圧クーラントによって加工点から切粉を排出するとともに、振動切削によって切粉を細かく分断しています。切粉を安定して処理することで、レンズ保持部の面粗度を維持し、切粉による不良品の発生を抑えます。

アルマイト処理後の寸法変化

黒アルマイト処理を行うと、処理膜の形成や前処理の影響によって、内径や外径、ねじ部などの寸法が変化します。切削加工時の寸法だけを基準にすると、アルマイト処理後にレンズが入らない、あるいは筐体との嵌合が緩くなる可能性があります。そのため、アルマイト処理の膜厚や処理条件を踏まえ、切削加工時の狙い寸法を設定することが重要です。

レンズホルダーを含む鏡筒の加工ポイントについては、下記の記事でも詳しく紹介しています。
>>技術コラム:「鏡筒の切削加工」

自動盤量産でレンズホルダーの精度を安定させるポイント

ワンチャッキングによる工程集約

レンズホルダーには、外径や内径だけでなく、段差、ねじ、溝、切り欠きなど、複数の加工要素が設けられることがあります。これらを複数の機械で加工すると、工程ごとにワークのつかみ直しが必要となり、内外径や各形状の位置精度が低下します。
自動盤の主軸C軸制御や回転工具を活用することで、旋削、穴加工、ねじ加工、切り欠き加工などを一台の設備で連続して行うことができます。
工程集約によってチャッキング回数を減らすことが、レンズホルダーの同軸度や位置精度を安定させるうえで有効です。

振動切削と高圧クーラントによる切粉処理

振動切削とは、工具を切削方向に振動させ、その振動を主軸回転と同期させながら切削する加工方法です。切削中に工具がワークから離れる時間を設けることで、切粉を細かく分断できます。さらに、高圧クーラントを使用して分断した切粉を加工点から排出することで、切粉の巻き付きや内面傷、工具破損を防止します。加工を停止して切粉を除去する回数も減らせるため、品質の安定だけでなく、量産時のリードタイム短縮にもつながります。

恒温室環境での寸法管理

レンズホルダーに多く使用されるアルミは、温度変化による寸法への影響を受けやすい材質です。特にミクロン単位の寸法公差が求められる場合、工場内の室温や設備温度の変化が加工寸法のばらつきにつながります。当社では、恒温室環境で加工を行い、室温変化によるワークや設備の熱変位を抑えています。加工環境に加え、工具摩耗や測定結果を継続して管理することで、長時間の連続加工においても安定した寸法精度を確保します。

加工依頼の際のポイント

表面処理後の要求寸法を明確にする

黒アルマイト処理を行う場合は、切削加工時の寸法ではなく、表面処理後に必要となる完成寸法を明確にすることが重要です。特に、レンズ保持部や筐体との嵌合部、ねじ部などは、アルマイト処理による寸法変化の影響を受けます。表面処理の種類や膜厚、マスキングの有無などを事前に共有することで、完成状態を考慮した加工寸法を設定できます。

基準となる外径・内径を明確にする

レンズホルダーでは、どの外径や端面をカメラ筐体への組付け基準とし、どの内径や段差をレンズ保持基準とするかによって、必要となる幾何公差が異なります。すべての内外径に厳しい同軸度を指定すると、加工や検査の難易度が上がり、量産コストが不必要に高くなる可能性があります。光学性能や組付けに影響する基準面を明確にし、機能上必要な部分に公差を設定することが重要です。

当社の加工事例

①車載カメラ用レンズホルダー

こちらは、A5054を使用した車載カメラ用レンズホルダーの加工事例です。サイズはφ15mm×L30mmで、レンズを固定する部分に高い精度が求められることから、外内径公差15μmを実現しています。切粉を効率的に処理するため、高圧クーラントで切粉を排出すると同時に、振動切削によって切粉を細かく分断しています。また、恒温室環境で加工を行い、温度変化や熱膨張による寸法への影響を抑えています。

>>車載カメラ用レンズホルダーの詳しい内容はこちら

②カメラ筐体部品

こちらは、A5054を使用した監視カメラ用レンズ筐体部品の加工事例です。サイズはφ25mm×L20mmで、外内径公差15μmが求められています。製品に設けられた帯状の切り欠き形状を加工するため、主軸C軸制御と回転工具を組み合わせた自動盤の複合加工機能を活用しています。旋削加工だけでなく、切り欠きやスリットを含むレンズホルダー・カメラ筐体部品についても、一工程に集約した量産加工が可能です。

>>カメラ筐体部品の詳しい内容はこちら

まとめ

カメラ用レンズホルダーは、レンズを固定する小径の筒状部品ですが、加工においては以下の点が重要です。
量産自動盤加工.comでは、自動盤により、アルミをはじめとした金属部品の量産加工を行っています。φ30mm以下の小径鏡筒・レンズホルダーにおける加工ノウハウに加え、100台以上の自動盤と恒温室環境を活用し、高精度なカメラ部品を安定して供給できる量産体制を構築しています。車載カメラ用・監視カメラ用レンズホルダーの量産加工でお困りの際は、ぜひ当社へご相談ください。

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