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技術コラム

タフピッチ銅(C1100)の切削加工

タフピッチ銅(C1100)は、電気・電子部品や放熱用途に欠かせない代表的な純銅材料です。優れた導電性・熱伝導性を持つ一方で、柔らかく延性が高いため、切削加工においては「切粉処理」や「工具への溶着」といった特有の課題が生じます。

高精度な部品を安定して製造するには、銅特有の性質を理解したうえで、適切な加工条件や工具選定が欠かせません。

本記事では、タフピッチ銅(C1100)の特性と実際の加工事例についてご紹介いたします。

タフピッチ銅(C1100)とは

タフピッチ銅(C1100)は、日本産業規格に規定された純銅(Cu純度99.90%以上)の一種で、工業分野で最も広く使用されている銅材料です。製造工程で意図的に残された0.02〜0.05%程度の酸素を含む点が特徴で、この酸素が不純物を酸化物として取り込み、結果的に銅本来の高い導電性を維持しています。

純銅は酸素含有量によって「タフピッチ銅(C1100)」「無酸素銅(C1020)」「リン脱酸銅(C1201・C1220など)」の3種類に分類されます。その中でタフピッチ銅(C1100)は最も流通量が多く、コストと性能のバランスに優れた代表的な純銅です。

>>純銅の切削加工について詳しくはこちら

 

タフピッチ銅(C1100)の特性

高い導電率・熱伝導率

タフピッチ銅の最大の特徴は、導電率と熱伝導率です。電気伝導率は国際焼鈍銅線標準(IACS)でほぼ100%に達し、電線やバスバー、プリント基板の銅箔といった電気・電子部品に欠かせない存在です。熱伝導率も350〜400W/(m・K)と非常に高く、ヒートシンクや熱交換器、調理器具などの放熱用途にも広く利用されています。

耐食性・外観

銅は空気中で酸化皮膜を形成し、さらに湿潤環境では緑青と呼ばれる錆が生成されます。これらは内部を保護する役割を果たし、鉄のように腐食が進行することはありません。加えて、赤みを帯びた美しい光沢を持ち、経年変化によって深みが増すため、建材や装飾品にも利用されています。

 

タフピッチ銅(C1100)のデメリット

一方で、タフピッチ銅には注意すべき点もあります。機械的強度は鉄鋼材に比べて低く、引張強さは195N/mm²以上と、構造部材としての使用には不向きです。また、600℃以上の高温下では水素と酸素が反応して内部に亀裂を生じる「水素脆化」が発生するため、溶接や高温加工には適しません。このため、耐熱性や溶接性が求められる用途では、無酸素銅(C1020)が選ばれる場合もあります。

 

タフピッチ銅(C1100)の切削加工のポイント

タフピッチ銅(C1100)は、純度の高い銅材であり、優れた電気伝導性・熱伝導性を持つため、電気部品や放熱用途で広く使用されています。しかし、切削加工においては「延性の高さ」が大きなハードルとなります。材料が柔らかく、ねばりがあるため、一般的な金属とは異なる注意点があります。

切粉の処理が難しい

タフピッチ銅は延性が強いため、切削時に発生する切粉が長くつながりやすく、工具やワークに巻き付いてしまうことがあります。この問題を防ぐには、インチング加工や振動切削といった手法が有効です。切削リズムに変化を与えて切粉を分断しながら加工を進めることで、安定した加工環境を維持できます。

バリの発生と工具への溶着

タフピッチ銅はせん断面がきれいに分離しにくく、端面にバリが残りやすい傾向があります。対策としては切削速度をやや高めに設定し、切削抵抗を下げることが効果的です。ただし、タフピッチ銅は熱伝導性が高いため、速度を上げすぎると切削熱の影響で工具刃先に銅が溶着しやすくなります。そのため、油性クーラントを用いた十分な冷却と潤滑が欠かせません。これにより刃先の溶着を防ぎ、仕上げ面の精度を安定させることが可能になります。

 

タフピッチ銅(C1100)の切削加工事例:車載エアコン用パイプ

こちらは自動車用エアコンの制御系に組み込まれるパイプ部品です。タフピッチ銅(C1100)を深穴加工する際、一般的な切削工具では切粉が刃先に絡みつきやすく、スムーズに排出できないという課題がありました。そのため、切粉処理を考慮した専用の工具を設計・製作し、安定した加工を実現しています。

>>加工事例の詳細はこちら

 

タフピッチ銅(C1100)の量産切削加工なら、量産自動盤加工.comにお任せください!

タフピッチ銅(C1100)は、優れた性能と高い流通性を備えた純銅材料ですが、切削加工では延性による切粉トラブルや刃先への溶着といった課題を伴います。安定した加工を実現するためには、切削方法の工夫や工具設計、適切な冷却・潤滑管理が不可欠です。

当社では、銅材特有の難しさに対応した加工ノウハウと事例をもとに、精密加工を行っています。タフピッチ銅の加工でお困りの際は、ぜひご相談ください。

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