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技術コラム

自動旋盤におけるテーパー加工

テーパー形状は、密閉性や流体制御、組付け精度などを左右する重要な要素であり、部品加工において欠かせない加工形状のひとつです。特に自動旋盤によるテーパー加工は、複雑かつ高精度な形状に対応できる一方で、内径や長尺形状の加工では高度な技術とノウハウが求められます。

本記事では、テーパー加工の基礎知識から、高難度加工に対する具体的な対策、自動盤での事例までを詳しくご紹介します。

テーパー加工とは

テーパー加工とは、構造物の径や幅、厚みが先端に向かって徐々に細くなる「テーパー形状」を実現するための加工方法です。主に旋盤を使用し、ワークを回転させながら、刃物台の角度を調整して切削工具を斜め方向に当てることで、先細りの形状をつくり出します。

 

テーパーと勾配の違い

「テーパー」と「勾配」は、どちらも“傾斜”を表す言葉ですが、JIS規格において、それぞれ次のように定義されています。

・テーパー:投影図または断面図における、相交わる2直線間の相対的な広がりの度合い
・勾配:投影図または断面図における、ある基準線に対する直線の傾きの度合い

つまり、テーパーは両側の傾斜が基準線に対して対称的に広がっていく“開き”の角度を意味し、勾配は片側だけが傾いている“傾き”の角度を指します。

例として、円錐形状のバケツを思い浮かべてみてください。中心線を基準にして左右の壁が等しく傾いている場合、この傾斜の広がりは「テーパー」となります。一方で、その中心線から片側の壁だけの傾斜角度を測ったものが「勾配」です。

 

外径のテーパー加工と内径のテーパー加工

テーパー加工には、大きく分けて2つの種類があります。ワークの外側を削って円錐状に仕上げる外径テーパー加工と、内側を削って円錐状にする内径テーパー加工です。

このうち、内径テーパー加工は外径テーパー加工に比べて加工難易度が高く、高度な加工技術が求められます。特に、内径がφ10以下と小さい場合や、テーパー部の長さが工具径の4倍(4D)を超えるような長尺の場合は、加工が非常に困難になります。

その理由は、テーパー部が長くなるほど、刃物が加工面と接触する距離も長くなり、切削抵抗が大きくなるためです。この抵抗増加により、工具のたわみやビビりが発生しやすくなり、寸法精度や表面仕上げに悪影響を及ぼすリスクが高まります。

 

高難易度な内径のテーパー加工のポイントと対策

上記でご紹介した、内径が小さく、かつ長尺形状といった高難易度なテーパー加工に対して、当社では以下のような対策を講じることで、高精度かつ安定した加工を実現しています。

1. 高圧クーラントによる切削抵抗の低減

加工時には高圧クーラントを使用し、刃先にピンポイントで冷却液を供給しています。これにより、切削熱を効果的に抑え、切削抵抗の増加を防止できるため、工具寿命の延長と、加工面の品質向上につながっています。

2. 切粉トラブルを防ぐツールパス制御

インチングを活用したツールパスを設定することで、切粉の長さを適切に制御し、ワーク外径や内径への切粉の巻き付き・絡まりを防止しています。これにより、切粉によるトラブルを未然に防ぎ、機械の安定稼働と稼働率向上を実現しています。

3. 粗加工と仕上げ加工の最適なバランス設計

テーパー加工では、工程を段階的に分け、まず粗加工で余肉を除去し、最終的に仕上げ加工で所定の形状に仕上げています。粗加工の回数を増やせば仕上げは容易になりますが、全体の加工時間が長くなるため、加工時間と仕上げ精度の両立を図るバランス設計が重要です。当社では、最適な工程設計により、高効率かつ高精度な加工を可能にしています。

 

自動盤における内径のテーパー加工事例:流体用ノズル

 

 

こちらはSUS630製の流体用ノズルです。主な加工ポイントは2つあります。

1つ目は内径のテーパー加工で、刃具が折れやすくなる課題に対し、特殊刃具メーカーと協力して最適な形状の刃具を製作し、高精度な加工を実現しています。

2つ目はクーラントの工夫で、高温による刃具の寿命低下を防ぐため、高圧クーラントで切削点にピンポイント冷却を行い、同時に切粉の排出も効率化しています。

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自動盤でのテーパー加工なら当社にお任せください!

当社では、内径が小さく長尺なテーパー加工といった難易度の高い加工にも対応可能な設備と技術を有しています。高圧クーラントによる切削安定性の確保、切粉トラブルを防ぐツールパス制御、そして工程設計の最適化により、高精度かつ高効率な加工を実現しています。

テーパー加工に関するお困りごとやご相談がありましたら、ぜひ当社にお問い合わせください。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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