自動盤によるスパロール加工

本記事では、スパロール加工の概要から、自動盤での活用メリット、品質確保のためのポイント、さらに実際の加工事例までを解説します。
スパロール加工とは
スパロール加工は、スギノマシン製の専用のローラーツールによって金属表面に圧力を加えることで、素材表層を塑性変形させ、研磨を行わずに高品質な表面仕上げを実現します。
この加工では、表面の粗さを短時間で大幅に低減できる上、加工硬化による耐摩耗性向上や、残留圧縮応力の付与による疲労強度の向上といった副次的なメリットも得られます。そのため、品質向上と同時にコストダウン・工程短縮が可能な手法として、多くの加工現場で採用されています。
スパロール加工には大きく2つの方式があり、ひとつは硬質ローラーを用いて、金属表面に回転圧力を加えながら微細な変形を与えるタイプ。もうひとつは、単一のローラーを用いて部位ごとに丁寧に処理するシングルローラータイプです。それぞれの方式に応じて最適な工具選定や加工条件の調整が求められます。
自動盤でスパロール加工をするメリット
円筒形状の部品に対して全面的にスパロール加工を施す場合、自動盤との組み合わせが極めて効果的です。自動盤はバー材を素材として連続加工を行うため、ワークをチャックで掴む必要がほとんどなく、ワーク全体へのスムーズなアクセスが可能です。これにより、全周にわたる均一なスパロール処理が一度の加工工程で完了します。
一方、NC旋盤ではチャッキングが必要となり、把持部にはツールが届かないため、スパロール加工の未処理部分が発生します。これを補うには、加工後に切り落とす「捨てボス」などの設計的工夫が不可欠となり、工程の煩雑化やコスト増加に繋がります。
自動盤でスパロール加工をする際のポイント
スパロール加工の品質を左右する重要な要素のひとつが、切削時に発生した切粉を完全に除去することです。切削工程で生じた切粉がワーク表面に残ったままスパロールを行うと、ローラーとワークの間に切粉が噛み込み、加工面に深刻なキズを与える恐れがあります。
特に面粗度の数値指定が厳しい製品では、このような異物の混入は致命的な欠陥となります。したがって、エアブローや高圧クーラントを用いた洗浄処理を徹底し、切粉除去のタイミングを工程設計の段階で最適化することが不可欠です。
自動盤でのスパロール加工事例:スペーサーブランク
本事例は、外径にRz3.2という高精度な面粗度が求められるスペーサーブランクの加工です。通常であればセンタレス研磨などの二次加工が必要ですが、シングルローラータイプのスパロール加工を用いることで、自動盤のみで加工を完結させています。
自動盤でのスパロール加工なら当社にお任せください!
スパロール加工は、表面粗さの向上と同時に、耐摩耗性や疲労強度の向上といった付加価値をもたらす先進的な仕上げ技術です。特に自動盤との組み合わせにより、高精度な仕上げを一工程で完了できる点は、生産効率とコストの両面で大きなメリットがあります。
スパロール加工をご検討の際は、是非当社にご相談ください。
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